Sign ~夢を追う2人を描いた、美くも儚い青春ソング~ 前編
こんにちは。
口笛少年です。
今回取り上げる『Sign』は、ドラマ『オレンジデイズ』の主題歌です。
視覚障害者が主人公のドラマということで、視覚以外で感じられる感覚が、意識的に散りばめられています。(例:音、触れて、匂い)
そこらへんにも注目しながら、勝手に深読みしていきましょう。
※このブログに書かれていることは、あくまで個人的な見解です。
桜井さんの本意をあぶり出そうというよりは、私の勝手な解釈を楽しんでいただくためのものです。
なので、「なるほど!ちなみに私はこう思ってます!」といった意見の交流はぜひしてみたいのですが、「桜井さんはそんなこと言ってないはず!」みたいなおっかない非難はこのブログの趣旨に反するので、コメントを承認しない可能性があります。ご了承ください。
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〇届いてくれるといいな
君の分かんないところで 僕も今奏でてるよ
育たないで萎れてた新芽みたいな音符(おもい)を
二つ重ねて鳴らすハーモニー
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「音符」と書いて「おもい」と読ませる。
・・・最初からしびれますね。
それぞれ別の場所で萎れていただけだった2人。
それぞれの音符が出会うことで、奇跡的なハーモニーを奏で始めます。
「君と僕が出会って、恋が始まった」というありきたりな場面を音に例えると、こんなにおしゃれな文章になるんですね。
また、「君」が聴覚障害者であると考えると、「君の分かんないところで奏でている」というのは、「君には聴こえないだろうけど、実はずっと隣で演奏しているんだ。」という意味に取れます。
これは、ドラマに関連付けた比喩表現でしょう。
音符=おもい=僕の頭の中にだけある、君への恋心
と取ると、
君にはまだ伝えていないけど、僕は心の中で、ずっと君のことを思っているよ
ということになりますね。
君への気持ちはなかなか言い出せないのだけど、そしてこの気持ちを届けるのはとても怖いことなのだけど、本当は伝えたいんだよなぁ・・・
そんな葛藤がたった2行で表現されている、ものすごく味わい深い歌い始めですね。
因みに、signが収録されているアルバム「I♡You」には、「僕らの音」というアルバム曲が収録されています。
『僕らの音』では、
メロディやハーモニーがふとずれてしまっても
ゆっくり音を奏でよう
とあります。
上手くかみ合わない二人の、signの歌詞で言うところの「音符(おもい)」を、何とか合わせようともがいているのが『僕らの音』であり、それが自然とできていくのが『sign』なのだと思います。
同時期の楽曲にそんな共通点を見つけられることから、「恋=2つの音を奏でる」という感覚は、意識的であれ無意識的であれ、当時の桜井さんの中に強くあったのではないでしょうか。
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〇「ありがとう」と「ごめんね」を繰り返して僕ら
人恋しさを積み木みたいに乗せてゆく
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「人恋しさ」とは、何となく人に会いたい、人と話がしたいという気持ちのこと。
当然この場合の「人恋しさ」とは、「(最初に出てきた)“君”と会いたいよ」という意味でしょう。
もし喧嘩しても、やっぱり会いたくなって、「ごめんね」と言って惹き合えるような、そんな関係。順調に愛を育んでいるように見えます。
しかし、「人恋しい」とは、会えないから「会いたいなぁ」と思うわけです。つまり、「人恋しい」と思っている以上、少なくともその感情を抱いた瞬間は、相手には会えていないわけです。
つまりこの段階ではまだ、ずっと一緒に居られる関係にはなっていないということですね。
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〇ありふれた時間が愛しく思えたら
それは“愛の仕業"と 小さく笑った
君が見せる仕草 僕に向けられてるサイン
もう 何ひとつ見落とさない
そんなことを考えている
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「人恋しさ」を積み上げてきた、会えない時でも「会いたい」と思えるようになった2人。
だからこそ、どんなに「ありふれた時間」でも、愛しいと思える。
その、もしかすると刹那的な時間の中で、精一杯、君の愛を感じていたい。
だから、そんなかけがえのない瞬間だからこそ、君が懸命に伝えてくれる「サイン」を最大限受け取ろうと考えているのでしょう。
また、恋愛以外のシチュエーションに落とし込むこともできます。
例えば、障害を持っていたり、まだ伝え方がおぼつかない小さな子どもだったりすると、自分に向けられたサインはとても微かなものであることが多いです。
だからこそ、その小さなサイン1つ1つの意味を確実に拾って、丁寧に読み取っていく必要があります。
そう考えると、ドラマでは聴覚障害者から受け取るサインが描かれていますが、小さなお子さんの父さん・お母さんにも投影できます。
子どもの成長は、大人から見るとあっという間です。日に日に成長していきます。まだまだ小さいけどすくすく育っていく、この子の「今」に立ち会えるのは、一瞬の出来事です。だから、この瞬間に出来るだけ多くのことを受け取っておきたいな、という願いと捉えると、よりたくさんの人が共感できる歌詞になるのではないでしょうか。