ミスチル桜井さんが好きすぎて・・・

~目じゃないとこ耳じゃないどこかを使って見聞きをなければ見落としてしまうブログ~

Starting Over~己を変えたい人全てに向けた応援歌~ 前編

こんにちは、口笛少年です。

今回深読みするのは『Starting Over』。

映画『バケモノの子』の主題歌です。

Starting Overの意味は、「新たなる旅立ち」

ハングリー精神を持って、飽くなき挑戦を続けているMr.Children自身を表した題名であると思います。

題名だけでも、桜井さんがこの曲に強い想いを込めたことがうかがえます。

では、歌詞を見ていきましょう。

 

※このブログに書かれていることは、あくまで個人的な見解です。

桜井さんの本意をあぶり出そうというよりは、私の勝手な解釈を楽しんでいただくためのものです。

なので、「なるほど!ちなみに私はこう思ってます!」といった意見の交流はぜひしてみたいのですが、「桜井さんはそんなこと言ってないはず!」みたいなおっかない非難はこのブログの趣旨に反するので、コメントを承認しない可能性があります。ご了承ください。

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〇肥大したモンスターの頭を

隠し持った散弾銃で仕留める

今度こそ 躊躇などせずに

その引き金を引きたい

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肥大したモンスター=ビックバンドの成り上がった、Mr.childrenという存在。

散弾銃で仕留める=今まで積み重ねてきたものをぶち壊すくらいに、生まれ変わったバンドを目指す。

今まで、どこか心の中でブレーキをかけていたその思いを、今度こそ白日の下に晒していきたい。

そんな、とてつもなく強い覚悟を感じます。

 

実はこの頃、それまでずっとミスチルをプロデュースしてきた小林武史氏と距離を取り、初のセルフプロデュースを始めていました。

そんな背景も相まっての、この強気の歌詞なのかなとも思いますし、もう一歩深読みすると、「肥大したモンスター」とは小林武史とタッグを組んでいたミスチルのことで、そのタッグを解消したことを、「散弾銃で仕留める」と表現したのかも知れません。

また、不確かな情報ではありますが、当時桜井さんと小林さんとは不仲説が唱えられていました。もしそれが本当で、歌詞にも反映されていたのだとしたら、かなり攻撃的な言いようですね。

 

この「肥大したモンスター」は、人生の色んな場面に投影できます。

例えば、夢を追っていく中で、自分の心の中に膨れ上がった理想(=肥大したモンスター)。でも、夢破れて諦める(散弾銃で仕留める)ことに、どうしても躊躇してしまう。そんな現実からは目を背けたい。何度も何度もやむにやまれなかったその諦め=引き金を、今度こそ引かないと・・・そんな、夢追い人が厳しい現実に屈した瞬間とも読めます。

 

また、映画『バケモノの子』とリンクさせるとどうでしょう。

この映画の前半部分では、主人公の師匠であるバケモノの独りよがりが、弟子に取った主人公に出会って少しずつ剝がれている様が描かれています。

独りよがりの(肥大した)バケモノ(モンスター)。

それを心変わりさせていく(散弾銃で仕留める)主人公の少年。

 

そうやって文章を当てはめていくと、ミスチル自身のことに加えて、映画の主題歌としてもきっちり仕事をしていると言えます。

 

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〇あいつの正体は虚栄心?

失敗を恐れる恐怖心?

持ち上げられ 浮き足立って

膨れ上がった自尊心?

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「あいつ」とは、肥大化したモンスターのこと。

今の地位に上り詰めたMr.Childrenというバンド。

では、ミスチルミスチルたらしめているのは何なのか。

それは、

虚栄心…自分を実質以上に見せようと、見栄を張ろうとする心

自尊心…自身を優れた存在だと認める心

のこと。

似ているようでいて、だいぶ違った意味になります。

 

バンドを立ち上げた頃、自分たちを奮起させるべく無理やりひねり出した“虚栄心”があった。

でも実際は、本当にこのバンドでやっていけるのか、不安でしょうがない“恐怖心”もあった。

 

やがて、バンドが売れていくたびに、周りは自分を媚びたり持ち上げたりしていく。

そんな群がって来る周囲の大人たちによって、“自尊心”らしきものも育ってきた。

でも、実際は必要以上に持ち上げられている気がして、この自尊心も不確かなものに思えてきて・・・本当に、ここまで自分は優れた存在と言えるのだろうか?

実はこの「自尊心」は、膨れ上がった風船のように、外見ばかり大きくて中身のないものなのではないのか?

その肥大したモンスターを、いつか散弾銃で仕留める必要があるのではないか・・・?

 

桜井さんの楽曲には、コンセプトアルバム『深海』に代表されるような、人気者ゆえの苦悩が描かれているものが多くあります。

この曲は、収録されたアルバム『REFLECTION』がリリースされた頃としては珍しく、そんな苦悩が色濃く出た作品だと思います。

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〇さぁ 乱れた呼吸を整え

指先に意識を集めていく

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 自分は肥大したモンスターのような自己を省みて動揺し、呼吸が乱れた自分を落ち着かせ、指先(ギターの弦)に意識を集中させて演奏していこうとしている・・・

ここから、心の奥にある苦悩に蓋をして、表舞台に駆け上がっていきます。

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〇僕だけが行ける世界で銃声が轟く

眩い 儚い 閃光が駆けていった

「何かが終わり また何かが始まるんだ」

そう きっとその光は僕にそう叫んでる

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桜井さんが描く、詩やメロディー。

いや、桜井さんにしか描けない、詩やメロディー。

それが、「僕だけが行ける世界」。

そんな孤独な世界で、銃声が轟く(歌詞やメロディーが浮かんでいく)。

 

そしてある時、頭の中を駆けていった閃光は「眩い」、そして「儚い」ものでした。

その閃光が、きっと今後のMr.Childrenが辿る道を指し示していたのではないでしょうか。

こんなことやあんなことを表現して、発信して、リスナーに届けていこう。

・・・そんな考えを、その閃光が運んできてくれたのだと思います。

その閃光が、「今までのミスチルという存在をいったんリセット(何かが終わり)して、新しいミスチルをもう一度構築していこう(何かが始まる)よ!」と叫んでいる。

きっとその想いは、桜井さんの頭の中のどこかに眠っていたものだったのではないかと思います。それを、その閃光が呼び起こしてくれたのではないでしょうか。

 

またこのサビ頭は、元々「僕しか知らない世界」という歌詞でした。

しかし、レコーディングを重ねていく中で、前向きな歌詞にしたいということで、「僕しか知らない」という否定語ではなく、「僕だけが行ける」という肯定表現から始めようと思い立ったそうです。

そんな絞り出した表現も、その「閃光」が呼び覚ましたものなのかも知れませんね。