miss youを聴いて② 【 雨の日のパレード~全体考察】
こんにちは、口笛少年です。
Mr.Childrenニューアルバム「miss you」の感想・考察の後半です。
前半はこちら
miss youを聴いて① 【 I MISS YOU ~ アート=神の見えざる手】 - ミスチル桜井さんが好きすぎて・・・
⑦雨の日のパレード
アルバム全体を見渡すと、落ち着いたサビが多いように感じます。
今回はその典型例。
しかし、最初と最後に出てくる「雨の日のパレード」の対比としてサビの「見上げればRainbow」という分かりやすい歌詞、そしてバックミュージックの変化、大サビの変調によって、「雨」と「虹」が鮮やかな対になっています。
⑧Party is over
アルバム全体を通して、桜井さんお得意の「韻」を踏んでいる曲が少ない気がします。
しかしこの曲は、その中でも数少ない、きれいな韻が踏まれた曲となっています。
特に、「バーボンソーダ」と「多分そうだ」。
やっぱいいですね!
しびれますね!
パーティーは終わった・・・その喪失感や無力感のようなものは、次の曲にも引き継がれているように思います。
あと、「感じるのに」の「に」の前の一瞬の溜めが、何気に好きです。
⑨We have no time
序盤は、ある若いバンドマン(かつてのMr.Childrenのイメージなのかな?)の様子を、小説のように、まさに目に浮かぶように描いています。
夢追う若者と、“no time=時間がない”年配者との対比。
近年のミスチルの楽曲ではよく取り上げられているテーマですが、今回のアルバムでは特に多い。
アルバムの名前の「miss you」。
この「you」はきっと、すでに失われた過去の自分。
そしてこの曲は、主語が「I」ではなく「We」です。
だから、「you」を失ったのは、そこら中の大人だというメッセージを、この曲を通して訴えているのかもしれない・・・と深読みしました。
⑩ケモノミチ
風上に立つなよ
獣達にバレるだろう
・・・曲名からしてもちょっと怖いような、でも「何が始まるんだろう?」と少しわくわくする、そんな曲の始まり。
でも、次の歌詞で種明かし。
そんな時代だったら
俺らとうに死んでる
なんだ、タラレバの話だったのか 汗
これを、歌詞カードで見ちゃうと面白みが減ってしまうように思います。
だからこそ、歌詞を小出しにしていく形のMVを、事前配信のトップに持ってきたのかなと思いました。
全体的には、アルバムに1曲はある、疾走感のある激しめの曲かなというところ。
ぱっと思いつくところで言うと、『フェイク』『ロックンロールは生きている』『Monster』のようなポジションかな。
⑪黄昏の積み木
メッセージ性の強い曲が続いたあとに、ぽんと現れた、優しいメロディの幸せな描写が続く曲。
ほっと一息、という印象です。
真摯に幸せを願い、真っ直ぐ未来に向かっていく2人を描いた歌詞。
私は、自分の結婚式でミスチルの曲をふんだんに使いましたが 笑、これから式を挙げるとすれば、ぜひ流してみたい!
そんなことを思いました。
⑫Deja-ve
大事なもの(you)を失った(miss)あと、『黄昏と積み木』で何か大切なものを得ることが出来た、つかむことができた。
そこでふっと出てきた言葉。
「僕なんかを見つけてくれてありがとう」
誤解を恐れずに言うなら、『黄昏の積み木』から『おはよう』までのブリッジの役割を果たしている曲かなと思います。
実はこの記事を書くにあたって、一番書くのに時間がかかったのがこの『Deja-ve』についてでした。
ゆえに、このアルバムの中で聴く回数を一番重ねてきた曲となりましたが、聴けば聴くほど味が出る「スルメ曲」だなと思いました。
⑬おはよう
『あんまり覚えてないや』を彷彿させるような、目が覚めるところから始まる、優しい曲調の曲。
「当たり前の毎日の中の幸せ」と歌っている、曲全体としてもアルバム「HOME」と似た雰囲気を感じます。
「MISS YOU=君を失った」はずのアルバムの最後に、こんなハッピーエンドを持ってくる。
それだけで、これまでの変化に富んだ楽曲たちが、1つのアルバムに上手くまとまった感じがします。
これが、このアルバムのこの部分にあることで、大きく意味を成す名曲ですね。
全体を通して
こんな感じで、初めて聴いた時の感想を羅列してみました。
全体的な構成としては、大事なもの(you)を失った(miss)あと、それを取り戻していく、そんな人生を1つのアルバムにまとめたアルバムでしょうか。
「恋人にふられたあとに新しい恋人と幸せになった」みたいな陳腐なものではありません。
”you”は「意中の異性」とも取れますが、それ以上に読み取れるのは、人生の中で追い続けた「夢」や「希望」のような美しいもの、または追い続けた日々のこと。
そんな、描いた夢をものにできなかったという意味のmissでとも取れるし、夢を掴んだ過去を後になって懐かしんでいる状況とも取れます。
そんな、桜井さんお得意のダブルミーニングとしてアルバム全体を見渡すと、アルバム全体を立体的に楽しむことができますね。
これから、奇跡的に当選したホールツアーで生演奏を聴いたり、CDを何度も聴き返したりする中で、違ったイメージを持つこともあると思います。
そんな変化を、これから楽しんでいきたいと思います。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!