ミスチル桜井さんが好きすぎて・・・

~目じゃないとこ耳じゃないどこかを使って見聞きをなければ見落としてしまうブログ~

【ネタバレ注意】Mr.Children tour 2023/24 miss you 長野公演 セトリ&レポート&感想

※本記事はネタバレの内容を含んでいます。

どうも、口笛少年です。

iss youツアー長野公演、行って来ました!

初めてのホールツアー、転売防止のためか当日にならないと席は分からず。

発券されたチケットを見ると、1階席の真ん中あたり。

贅沢を言えばもっと前が良かったけど、そのあたりの方が会場全体の演出を感じることが出来るのでいいのかも、とプラスに考えながら入場しました。

今まで、ドームやアリーナの後方しか席を取れたことがなく、初めて(大画面ではなく)生の桜井さんを肉眼で堪能できました。

そんな、ホールツアーのセトリ&レポート&感想を書き留めておきます。

 

 

まず、セットリストはこうでした。

 

Mr.Children miss you tour長野公演セトリ

1 Birthday

2 青いリンゴ

名もなき詩

MC

4 Fifty’s map~おとなの地図

5 口がすべって

6 常套句

MC

7 Are you sleeping well without me?

8 LOST

9アート=神の見えざる手

10 雨の日のパレード

11 Party is over

12 We have no time.

13ケモノミチ

14 pieces

15放たれる

16 幻聴

17 声

18 Your song

MC

19 おはよう

― アンコール ー

20優しい歌

21 The song of praise

22 祈り~涙の軌道

退場曲:Fifty’s map~おとなの地図

以下、レポート&感想です。

MCの内容は特に、記憶がおぼろげで曖昧な部分が多々あります。

よりはっきりした記憶のお持ちの方、「こう言っていたよ」とぜひコメントで教えてください。

 

1 Birthday

開演前は、背景が星空、右側に木が茂り、青い照明の中で楽器がうっすらと見えているようなステージ。

そして、最初の曲が『Birthday』。

一気に会場のボルテージが上がりました。

 

2青いリンゴ

CDを聴いた時の第一印象で、大サビの「強い風」の前のJENのドラムが気に入っていたので、注目していました。

すると、そこに入る前にバチを上に掲げていたのが見えて、大サビ前に気合を入れているのか?とか考えながら見ていました。

本当はメンバー1人1人の表情も見たかったのだけど、演出上逆光になっていて私の席からは見えにくかったのが残念。

 

名もなき詩

言わずと知れた有名曲、今まで何百回と聴いてきましたが、ホールで聴くのはやっぱり格別でした!

 

MC

尾崎豊に憧れていた10代の頃と今を比べて、あの頃とは違った景色が見える、そんな気持ちを歌いました、といった話のあと、次の曲へ・・・

 

4Fifty’s map~おとなの地図

 

5口がすべって

 

6常套句

 

MC

「ここから、皆さんをニューアルバムの世界へと招待します」

といった言葉から、7曲連続でニューアルバム曲へ。

 

7Are you sleeping well without me?

8LOST

9アート=神の見えざる手

ステージ後方の画面では、歌詞カードを思わせる朱色の背景に、攻撃し合っている2つの影。

そして、階段を10段くらい?上がったところの壇上に椅子が置いてあり、桜井さんはそこに座ったり辺りでもがいたりしながら、激しいラップ調の曲を力強く歌い上げました。

これは正面からしか見えない会場だからこそ、映える演出なのかなと思いました。

 

10 雨の日のパレード

後ろの大画面に大きな傘の画像。

雨に見立てた、天井から床に照らす細長い光。

そして、「見上げればRainbow」の部分で光の方向が逆になり、床から天井に照明が灯りました。

会場全体が曲の世界に飲み込まれたような感覚は、感動的でした。

 

11 Party is over

桜井さんと田原さんの、アコギとボーカルのみでの演奏。

息の合った演奏と、何より楽しそうな2人を見て、悲哀に満ちた曲ですが、心が温かくなるような時間でした。

 

12 We have no time.

13ケモノミチ

 

・・・とここまで、CDに収録された曲順のままに演奏されたことから、アルバム全体のストーリーをとても大切にしているんだなということが伝わってきました。

 

14pieces

15放たれる

すごく個人的なことですが、2曲続けて、私の大好きな曲。

若い頃の挫折経験を思い出しながら桜井さんの歌声に浸っていると、ついに涙腺が崩壊しました。

これらは、セットになっているからこそ深みが増す、そんな2曲だと思います。

 

16幻聴

 

17声

ライブのために作られたような曲です。

盛り上がりは最高潮へ。

サビの「Yeah」の掛け合いの途中、桜井さんの声が小さくなった?と思ったら、マイクを通さず地声の「Yeah」が炸裂!

客席大興奮!

箱が小さいホールならではの演出ですね!桜井さんの地声を生で聴けるなんて感動!

 

18Your song

 

MC

ここで、田原さんからのメンバー紹介。

一度口を開くだけで歓声が上がる田原さんなので 笑、当然今回も大盛り上がり。

 

JENからは、長野でホールライブをやるのは29年ぶりなのだという話がありました。「ういーっす!これって何か分かる?」「長野でホールライブやるのって何年振りか知っている?」と会場に質問が投げられ、客席から大声でアンサーが帰って来る。そんなやり取りが、会場の一体感を作っていくように感じました。

そして中川さんからは「実はプライベートで長野にはよく来ていて・・・」というトークが飛び出し、会場が湧きました。スキー場へ行った話、お店でサービスしてもらったりんごが美味しかったという話など・・・

そのあと桜井さんは、「中ケーがご当地トークで皆さんの心をつかんだあとですが、・・・僕は何もありません」と会場の笑いを誘いました。

 

19おはよう

アンコール前最後に、アルバムでも最後に収録されている『おはよう』。

「この会場を出て、それぞれの大切な人のもとへ帰った時、この曲を思い出してほしい」

そんな内容のMCだったと思います。

 

― アンコール ー

20優しい歌

桜井さんの弾き語りに、Sunnyさんのサポートが加わった、シンプルな演出でした。

 

21The song of praise

「みなさんと一緒に歌うことを前提とした曲です。」という紹介の通り、「Oh~、oh~、oh~」のところは思い切り煽ってくれて、会場全体で一体となって音を奏でている感覚が最高でした。

 

22祈り~涙の軌道

 

退場曲:Fifty’s map~おとなの地図

メンバーが舞台袖にはけていく中、JENが最後まで端に残っておちゃらけてくれて、最後まで楽しませてくれました。

 

計2時間半弱、あっという間の夢のような時間でした。

もう10年以上前になりますが、初めてミスチルのライブに行った時、「この会場にいる人全員が、ミスチルのことが好きなんだ」と思いを巡らし、とても感動したのを鮮明に覚えています。

今回、客数は初参戦のライブの10分の1ほど。だからこそ、本当に本当に好きな人が集まっているんだろうなと考えると、ぐっとくるものがありました。

 

ミスチルの楽曲を「人生のバイブル」としている私からすると、桜井さんはもはや神さまみたいな存在なのですが 笑、改めて一生桜井さんに付いていこうと思えた、幸せなひと時でした。

 

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。

『ヒカリノアトリエ』~ひたむきな生き方に寄り添う、優しさあふれる応援ソング~ 後編

ヒカリノアトリエの考察、後編です。

前編はこちら

『ヒカリノアトリエ』~ひたむきな生き方に寄り添う、優しさあふれる応援ソング~ 前編 - ミスチル桜井さんが好きすぎて・・・

 

「一体何の意味がある?」

つい 損か得かで考えてる

でも たった一人でも笑ってくれるなら

それが宝物

 

2番に出てくる「虹」は、少し毛色が変わっているように思います。

夢や理想といったような「虹」ばかり追い求めていると、「こんなことをやって意味があるのかな?」と、不安になってくることがあるかも知れません。

あの遠くの空にかかる大きな虹にたどり着くためには、これをやることで損にならないか・・・

得なことって何だろう・・・?

これをやっていくことで、あの虹に向かってちゃんと進めているのかな・・・?

 

だけど、いったん肩の力を抜いてみようよと。

そんなに大きな夢=虹を掲げなくても、目の前の人や愛する人がたった一人でも幸せな気持ちになってくれればそれで良し、という考え方だってできるんじゃない?

 

誰の胸の中にだって薄暗い雲はある

その闇に飲まれぬように

今日をそっと照らしていこう

 

どんな成功者だって必ず、悩みや苦しみがあるはず。

虹がかかる前の雨が降り出しそうな、暗い雲。

その闇に飲まれたら、ずっと苦しい思いをするかも知れない。

その雨が降らないと虹はかからないかもしれないけど、それでいいじゃないか。

今この時を照らしていこうよ。

 

過去は消えず

未来は読めず

不安が付きまとう

だけど明日を変えていくんなら今

今だけがここにある

 

暗い闇に紛れた、つらい過去があったかもしれない。

これから、どんな天気に巻き込まれるかも分からない。

でも、今存在しているのは、そして二度と訪れないのは、“今”なのだから、たった今、この一瞬を大切にできればそれでいいじゃないか。

遥か遠く地平線の奥の方から

心地好い風がそのヒカリ運んで

僕らを包んでく

 

この曲が主題歌となったドラマ『べっぴんさん』の主人公は、裕福な家庭に育ちながらも戦争によって急に生活が苦しくなります。しかしそこから、0から事業を起こして成功をおさめていきます。

まさにそのストーリーのごとく、戦争のような真っ暗闇が辺りを覆っても、朝日は必ず昇ってきて、周りを照らしてくれる。

それを、単に「ヒカリに包まれる」のではなくて「風がヒカリを運んでくる」という表現をするところが、とてもおしゃれだな、なんて思いました。

 

たとえば100万回のうち

たった一度ある奇跡

ただひたむきに前を見てたら

会えるかな

 

数少ないチャンスを信じていくことが、雨が続いていても心が腐っていかないような「防腐剤」になるのでした。

だから、ひたむきに前を見ていようよ、という一番を受けた歌詞になっているわけですが、

最後は「会えるだろう」「会えるはず」といった断定に近い表現ではなく、「会えるかな?」という疑問文になっています。

本当に会えるのか、桜井さん自身にも分からない。でも、前を向かないと、「会えるかも知れない」とかすかな希望を感じることすらできなくなります。

だから、ひたむきに前を見ようと訴えかけるのですが、それで虹が見えるよ、なんて自信を持っては言えない。

そんな心が揺らぎまくった状態で、サビに入っていきます。

 

空に架かる虹を今日も信じ

歩き続けよう

優しすぎる嘘で涙を拭いたら

虹はほらそこに

 

虹を信じて、とにかく歩き続けていこう。

その虹が何なのか、人によって違ってくるでしょう。

まだまだ雨が降り続けるかもしれないし、あと少しで止みそうなのかもしれない。もしかすると、雨が止むことはないのかもしれない。

でも、「きっと虹はかかるよ」と言い聞かせていこう。

そう信じ続けていけたら、もう虹に出逢える時は近いよ・・・。

 

過去は消えず

未来は読めず

不安が付きまとう

だけど明日を変えていくんなら今

今だけがここにある

きっと

虹はもうここにある

 

この曲を引っ提げて行われたのが、2016年のホールツアー「虹」でしたが、同時期に熊本地震があり、その影響で会場に行けなくなってしまった人たちへ、Mr.Childrenからこんなメッセージが発表されていました。

 

止まない雨はないです。

雨の後に虹が出ることもあります。

出ないかもしれない。

でも空に架かった虹を見逃さないために、

出来るなら下を向かず、

前を向いて、

空を見上げていてください。

 

ライブMCでも桜井さんは、熊本地震で被害に遭われた方々へのメッセージという意味合いがあると語っています。

人の力ではどうにもならないような自然災害。その過去は消えないし、不安ばかりが押し寄せるでしょう。

それでも、今を前向きに変えていくことができれば、虹に出逢うことができるはず・・・

そんな願いが込められたラストの歌詞だったのだと思います。

 

以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

 

『ヒカリノアトリエ』~ひたむきな生き方に寄り添う、優しさあふれる応援ソング~ 前編

ヒカリノアトリエは、36thシングルで、NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』の主題歌。

NHKとのタイアップということで、発売日を1月11日にしたとのことです。

 

この曲が『べっぴんさん』の主題歌になることについて、桜井さんはこのようなコメントをしています。

べっぴんさんとの出会いが僕らにまっすぐな希望の歌を与えてくれました。

ひたむきな物語にそっと寄り添えるような曲でありたいと強く願っています。

 

そんな、主人公の“ひたむきさ”に寄り添う歌詞について、考察していきましょう。

 

 

※このブログに書かれていることは、あくまで個人的な見解です。

 

桜井さんの本意をあぶり出そうというよりは、私の勝手な解釈を楽しんでいただくためのものです。

 

なので、「なるほど!ちなみに私はこう思ってます!」といった意見の交流はぜひしてみたいのですが、「桜井さんはそんなこと言ってないはず!」みたいなおっかない非難はこのブログの趣旨に反するので、コメントを承認しない可能性があります。ご了承ください。

「雨上がりの空に七色の虹が架かる」

って そんなに単純じゃない

この夢想家でも

それくらい理解ってる

 

この曲は、「虹」が1つのキーワードになっています。

 

「雨が降ったら空に虹がかかるように、嫌なことがあってもそのうちいいことがあるよ」

というメッセージは、色んなところで見受けられると思います。

そんなメッセージへのアンチテーゼから、歌が始まります。

そうやって上手くいくことばかりではないんじゃないか、と。

 

この夢想家とは、おそらく桜井さん自身のこと。

桜井さん自身、「虹」を比喩表現として用いた作品をいくつも書いています。

 

でも、そんな自分だって、人生が全てそんな単純なものではないことはよく分かっている。

それを分かっていながらも、そんなメッセージを発信してきた・・・

 

Mr.Childrenの楽曲で「雨上がりの虹」に関連する歌詞には、こんなものがあります。

 

もうちょっと もうちょっと 頑張ってみるから

ねえもっと ねえもっと いい事があるかな

イメージはいつでも 雨のち晴れ

いつの日にか 虹を渡ろう

(雨のち晴れ)

 

ああ 雨上がりの遠くの空に 虹が架かったなら

戸惑いや不安など 簡単に吹き飛ばせそうなのに

乾いた風に口笛は 澄み渡っていく

まるで世界中を優しく 包み込むように

(口笛)

 

Walkin' on the rainbow 

雨上がりの路上に輝く

飛び出したmy dream

(虹の彼方へ)

 

君は九月の朝に吹き荒れた通り雨

叩きつけられて

虹を見たんだ そこで世界は変わった

(僕らの音)

 

「頑張ったあとの“いい事”」「戸惑いや不安を吹き飛ばせそうなもの」「夢」「心を寄せる“君”」・・・

共通して言えるのが、虹という存在をプラスのイメージとして扱っているということです。

そして、マイナスイメージの雨が止んだ後に、必ず虹が架かっている。

これだけ、「雨上がりの空に虹がかかる」曲を生み出してきた桜井さんでも、歌詞の通り全てのことが、

マイナス→プラス

に生じるわけではないと言っているんですね。

 

大量の防腐剤

心の中に忍ばせる

晴れた時ばっかじゃない

湿った日が続いても腐らぬように

 

例え雨が止むように嫌なこと、悲しいことが通り過ぎても、空に虹がかかるように、いいことが起きるとは限らない。

だからこそ、心が腐ってしまわないように、つらい日の中でも前向きに生きていけるような「防腐剤」を心の中に持っておこうよ。

その「防腐剤」とは何か?

それが、「たとえば」と前置きがあった上で説明されています。

 

たとえば100万回のうち

たった一度ある奇跡

下を向いてばかりいたら

見逃してしまうだろう

 

自分の願いや夢や希望への思いが、雨の日が続いてしまうと薄れてしまうかも知れません。

だからと言って下を向いて、悲観的な考えばかりに囚われてしまったら、数少ないチャンスも取り逃がしてしまうかもしれない。

それが繰り返されることで、心が腐っていってしまう。

 

だから、数少ないチャンスを信じて、前を向いて生きていくこと。

それが、「防腐剤」の1つになるのではないか。

 

さぁ

空に架かる虹を今日も信じ

歩き続けよう

優しすぎる嘘で涙を拭いたら

虹はもうそこにある

 

雨上がりに、虹がかかるとは限らない。

でも、絶対にかからないわけではない。

だから、虹がかかることを信じて、前を向いて歩いていこう。

心が腐っていかないように。

「優しすぎる嘘」=「雨が降ったあとは、必ず虹がかかるよ」というメッセージ。

それは気休めの嘘なのかもしれないけど、人を前向きにさせる、優しい嘘です。

絶望の中でもそんなメッセージを信じてみたら(=涙を拭いたら)、「虹」が見えるかもしれない。

 

・・・と、ここで、歌詞全体を見渡した時に矛盾が生じます。

冒頭の歌詞はこれです。

 

「雨上がりの空に七色の虹が架かる」

って そんなに単純じゃない

 

そう言っておきながら、サビの最後では「虹はもうそこにある」と言い切ってしまう。

 

どうして、このような矛盾が生まれたのか?

それは、“虹”というものが持つ奥深さにあると思います。

前述した曲の他に、ミスチルの楽曲で“虹”が出てくる曲に、『蘇生』があります。

 

二車線の国道をまたぐように架かる虹を

自分のものにしようとして

カメラ向けた

光ってて大きくて透けてる三色の虹に

ントが上手く合わずに

やがて虹は消えた

胸を揺さぶる憧れや理想は

やっと手にした瞬間にこの姿消すんだ

 

虹は「憧れや理想」の比喩表現ではありますが、不安定ですぐに消えてしまう、儚い存在の象徴だという考え方ですね。

 

虹を信じて、虹にたどり着いて。

でもその“虹”が本当にいいことなのかを決めるのは、その人の行動と、気の持ちようではないでしょうか。

確かに人生は、「雨上がりの空に虹が架かってハッピーエンド」のような単純なものではありません。

でも必ず、雨が上がったら虹はかかるんだと、信じ抜くことが出来れば、「優しすぎる嘘」を信じ抜くことができれば、その虹を確かなものに出来るのではないでしょうか。

 

そうやって、人生の不確実性を描いたという点では、終始一貫している歌詞であると言えます。

miss youを聴いて② 【 雨の日のパレード~全体考察】

こんにちは、口笛少年です。

Mr.Childrenニューアルバム「miss you」の感想・考察の後半です。

 

前半はこちら

miss youを聴いて① 【 I MISS YOU ~ アート=神の見えざる手】 - ミスチル桜井さんが好きすぎて・・・

 

⑦雨の日のパレード

アルバム全体を見渡すと、落ち着いたサビが多いように感じます。

今回はその典型例。

しかし、最初と最後に出てくる「雨の日のパレード」の対比としてサビの「見上げればRainbow」という分かりやすい歌詞、そしてバックミュージックの変化、大サビの変調によって、「雨」と「虹」が鮮やかな対になっています。

 

⑧Party is over

アルバム全体を通して、桜井さんお得意の「韻」を踏んでいる曲が少ない気がします。

しかしこの曲は、その中でも数少ない、きれいな韻が踏まれた曲となっています。

特に、「バーボンソーダ」と「多分そうだ」。

やっぱいいですね!

しびれますね!

 

パーティーは終わった・・・その喪失感や無力感のようなものは、次の曲にも引き継がれているように思います。

 

あと、「感じるのに」の「に」の前の一瞬の溜めが、何気に好きです。

⑨We have no time

序盤は、ある若いバンドマン(かつてのMr.Childrenのイメージなのかな?)の様子を、小説のように、まさに目に浮かぶように描いています。

 

夢追う若者と、“no time=時間がない”年配者との対比。

近年のミスチルの楽曲ではよく取り上げられているテーマですが、今回のアルバムでは特に多い。

アルバムの名前の「miss you」。

この「you」はきっと、すでに失われた過去の自分。

 

そしてこの曲は、主語が「I」ではなく「We」です。

だから、「you」を失ったのは、そこら中の大人だというメッセージを、この曲を通して訴えているのかもしれない・・・と深読みしました。

 

⑩ケモノミチ

風上に立つなよ

獣達にバレるだろう

 

・・・曲名からしてもちょっと怖いような、でも「何が始まるんだろう?」と少しわくわくする、そんな曲の始まり。

でも、次の歌詞で種明かし。

 

そんな時代だったら

俺らとうに死んでる

 

なんだ、タラレバの話だったのか 汗

これを、歌詞カードで見ちゃうと面白みが減ってしまうように思います。

だからこそ、歌詞を小出しにしていく形のMVを、事前配信のトップに持ってきたのかなと思いました。

 

全体的には、アルバムに1曲はある、疾走感のある激しめの曲かなというところ。

ぱっと思いつくところで言うと、『フェイク』『ロックンロールは生きている』『Monster』のようなポジションかな。

 

 

⑪黄昏の積み木

メッセージ性の強い曲が続いたあとに、ぽんと現れた、優しいメロディの幸せな描写が続く曲。

ほっと一息、という印象です。

 

真摯に幸せを願い、真っ直ぐ未来に向かっていく2人を描いた歌詞。

 

私は、自分の結婚式でミスチルの曲をふんだんに使いましたが 笑、これから式を挙げるとすれば、ぜひ流してみたい!

そんなことを思いました。

 

⑫Deja-ve

大事なもの(you)を失った(miss)あと、『黄昏と積み木』で何か大切なものを得ることが出来た、つかむことができた。

そこでふっと出てきた言葉。

「僕なんかを見つけてくれてありがとう」

 

誤解を恐れずに言うなら、『黄昏の積み木』から『おはよう』までのブリッジの役割を果たしている曲かなと思います。

 

実はこの記事を書くにあたって、一番書くのに時間がかかったのがこの『Deja-ve』についてでした。

ゆえに、このアルバムの中で聴く回数を一番重ねてきた曲となりましたが、聴けば聴くほど味が出る「スルメ曲」だなと思いました。

 

⑬おはよう

『あんまり覚えてないや』を彷彿させるような、目が覚めるところから始まる、優しい曲調の曲。

「当たり前の毎日の中の幸せ」と歌っている、曲全体としてもアルバム「HOME」と似た雰囲気を感じます。

 

「MISS YOU=君を失った」はずのアルバムの最後に、こんなハッピーエンドを持ってくる。

それだけで、これまでの変化に富んだ楽曲たちが、1つのアルバムに上手くまとまった感じがします。

これが、このアルバムのこの部分にあることで、大きく意味を成す名曲ですね。

全体を通して

こんな感じで、初めて聴いた時の感想を羅列してみました。

 

全体的な構成としては、大事なもの(you)を失った(miss)あと、それを取り戻していく、そんな人生を1つのアルバムにまとめたアルバムでしょうか。

「恋人にふられたあとに新しい恋人と幸せになった」みたいな陳腐なものではありません。

”you”は「意中の異性」とも取れますが、それ以上に読み取れるのは、人生の中で追い続けた「夢」や「希望」のような美しいもの、または追い続けた日々のこと。

そんな、描いた夢をものにできなかったという意味のmissでとも取れるし、夢を掴んだ過去を後になって懐かしんでいる状況とも取れます。

そんな、桜井さんお得意のダブルミーニングとしてアルバム全体を見渡すと、アルバム全体を立体的に楽しむことができますね。

 

これから、奇跡的に当選したホールツアーで生演奏を聴いたり、CDを何度も聴き返したりする中で、違ったイメージを持つこともあると思います。

そんな変化を、これから楽しんでいきたいと思います。

 

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!

miss youを聴いて① 【 I MISS YOU ~ アート=神の見えざる手】

どうも、口笛少年です。

久しぶりの更新になります。

 

いよいよ発売されました、Mr.Childrenの最新アルバム『miss you』。

感じたことをざっくばらんに書いていこうと思います。

 

※本当に自分が思ったことをただただ羅列しているだけなので、独りよがりのとんちんかんな内容になってしまっているかもしれないことを、ご承知おきください。

 

 

①I MISS YOU

まずピアノだけの前奏から入り、徐々に音が重なっていく。

アルバム1曲目にこの曲があることで、すっと耳に心地よく音が響いてきます。

 

「繰り返すフレーズ」と「繰り返したフレーズ」という表現が、交互に出てきます。

ミスチルの楽曲の中で、そういった歌詞の変化の付け方はなかったはずです、確か。

2種類の時間軸の表現をしていることで、「過去」「今」「未来」といった幅広い世界を歌っていく、というメッセージでしょうか。

 

 

②Fifty’s map~おとなの地図

「独りになりたい」と願う

そんな時がある

そんな歌詞から始まります。

「ずっと一緒に」「いつも2人で」といった歌詞はよくあるし、桜井さんも何度も書いてきました。

しかし、あえてその逆をいくこの歌詞を最初に持ってきた。

そこに、それまでの自分を捨てても、まだまだ新しい挑戦をしていきたいという決意を感じました。

求められるクオリティ

今日も必死で応えるだけ

の部分は、まさに桜井さんがずっとたどってきたこと。

先のことなど何も恐れずに

この瞬間を生きていれたら

この部分も刺さります。

桜井さんだって、プレッシャーから逃げたくてこう思うことは、当然あるに違いありません。

そして、虚勢を張って、でも弱気な自分もいて、その中間で揺らぎ、もがきながら歩んできた経験は、桜井さんだけではなく、色々な方が経験しているでしょう。

その全ての人に、「ぼくだってそうだよ」と寄り添ってくれているんですね。

 

 

そしてこの曲を語る上で外せないのは、YouTubeで先行配信されたMVの存在。

何と、言わずと知れた名曲『くるみ』のMVがベースとなっています。

そして、そこに出てくるMR.ADULTSが、新シーンも入れ込まれながら登場していました。

 

そして最後、くるみであれば「さぁ行こう 君のいないみちの上へ」で捨てられる紙くず。一方でこの曲では、「似てる仲間がここにもいるよ」の部分で桜井さんが紙くずを拾い上げる。そして、拾ったあとは引き返すのではなくメンバーのいる前に進んでいく・・・そんな、美しい対比が隠されています。

 

何十回も見た『くるみ』のMVが、こんなに素敵に蘇るなんて・・・と、ただただ感動して、ついでに『くるみ』のMVも何度か見返してしまいました。

③青いリンゴ

桜井さんの歌い方は、鋭い声、激しい声、悲しげな声、優しい声・・・と何パターンかに分けられると思います。

その中でも、この曲はとびきり「明るい」歌声の印象。

曲調も軽快で、メンバー4人が笑顔で演奏している映像が浮かんできます。

そこのところ、ホールツアーで注目して見てみたいところです。

 

全体を通して、「まだまだがんばれるよ!」と応援してくれている気がする、心強いなと思える1曲。

 

あと個人的には、2回目の「強い風」の前のドラムがかっこよくて好きです。

 

 

④Are you sleeping well without me?

青いリンゴから一変、悲しさを前面に出した歌声。

 

個人的には、桜井さんが歌い始めた瞬間に『Mirror』が頭に浮かびました。

Mirrorは、コンセプトアルバム『深海』の中で、『ありふれたLove Story~男女問題はいつも面倒だ~』の次に、ただただ“君”に一方的な想いを伝えていく曲。

今回の曲も、「わたしなしでよく眠れるの?」なんてことを、問いかけ続ける曲となっています。

 

それにしても、もう27年くらい前を思い出させる声が出せるくらい、桜井さんの歌声の幅はどんどん広がっているように感じます。

 

 

➄LOST

若い時の尖った気持ちや勢いがなくなってしまった“自分”を主人公とした、悲哀に満ちた曲

・・・のようにも思えますが、桜井さんの力強い、そしてその力強さがどんどん増していく歌い方からは、「でも、まだまだ諦めてはいないんだぞ」というメッセージを感じました。

 

Mr.Childrenもこれからまだまだ意欲的に活動を続けていくぞ」というメッセージも、隠れているのかも知れない、いや隠れていたらいいな・・・と思ってしまいました。

 

 

⑥アート=神の見えざる手

穏やかな曲調が続く中、いきなりやってきたこの激しいラップ調の曲。

『BOLERO』の頃を思い出させるような、辛辣な、メッセージ性の強さに大きく振り切った歌詞。

賛否両論ありそうだし、好き嫌いもはっきり分かれそうだけど、私としては「よっ、待ってました!」という感じです。

こういう曲を1曲入れてくるところ、さすがです。

改めて惚れ直しました。

 

私を救ってくれた桜井さんの言葉

どうも、口笛少年です。

今回述べるのはとても個人的な内容になるので、多くの人にとってはどうでもいい内容かも知れませんが、もしかすると似たような境遇の人に刺さればいいなと思い、書きます。

 

私は、Mr.Childrenが大好きです。

もっと言うと、桜井和寿さんの歌詞が大好きです。

 

だから、このブログを始めました。

更新頻度は高くありませんが、ちょっとずつでも続けていこうと思います。

 

そんな私を救ってくれた、桜井さんの言葉についてのご紹介です。

高校時代。

私は、ある職業に就きたいという夢がありました。

その職業に就くためには、どうしても大学に行く必要がありました。

しかし、大学受験に失敗し、大学浪人をすることになりました。

その浪人生活は、2年間に及びました。

その2年間、高校時代の友達の多くは大学へ行き、キャンパスライフを満喫していました。

それぞれの夢・目標に向かって、どんどん進んでいきました。

 

しかし私は、ずっとそこで足踏みしたまま。

前に進むことが出来ず、この世界で自分だけがぽつんと取り残されるという錯覚にまで陥りました。

そんな時、『星になれたら』の歌詞に出逢いました。

 

長く助走をとった方がより

遠くに飛べるって聞いた

 

この歌詞に、何回、いや何百回、もしかすると何千回、助けられたか知れません。

今はきっと、長い助走期間なんだ。

ここを乗り越えれば、きっと大きく飛躍できるはずなんだ。

そう思って、歯を食いしばりました。

 

高校時代の友達に、自分の夢を語ると、何度も嘲笑されました。

だけど、

 

いつか君と話した夢の続きが今も捨てきれない

 

笑われたっていい。

 

笑われるのにも慣れた

 

だから、まだまだ頑張ろう。

そう思えました。

また、『雨のち晴れ』のこの歌詞。

 

もういいや もういいや 疲れ果てちまった

そう言って そう言って ここまで来たじゃないか

 

なかなかたどり着かないのに、諦めもつかない。

歌詞の通り、「もういいや」と何度も思った。

でも、そうやって歯を食いしばって、ここまで来たじゃないか。

そうやって、訴えかけるように鼓舞してくる歌詞が、心に深く深く突き刺さりました。

 

そして、そんな私が一番好きな曲が、『くるみ』です。

 

ねぇ くるみ

この街の景色は君の目にどう見えるの。

今の僕はどう見えるの?

 

ここの歌詞の解釈は、この記事で解説しています。

https://misuchiru700308.hatenablog.com/entry/2022/07/16/161601

 

この「くるみ」を、夢を叶えた(と信じたい)未来の自分に投影しました。

未来の自分(=くるみ)から見て、今の自分はどう映っているんだろう・・・?

そう思いを馳せると、未来の自分に恥じないように、頑張らないとなと思えました。

 

 

そして何とか、ずっと目指していた志望校に合格しました。

 

大学に入ってからは、長く助走を取った分遠くに飛べるように、人一倍努力したつもりです。

今までの時間を取り返すように、講義だけでなく、夢を見据えたボランティア等にも積極的に参加しました。

 

ただし、ミスチル好きは変わらず、友達と「ミスチル同好会」なるものを作り、ライブに行ったりチルカラ(=ミスチル縛りのカラオケ)を6時間ぶっ続けでやって喉をからしたりと、いわゆるキャンパスライフも楽しみました。(笑)

そして現在。

あの頃に目指していた、憧れだった職業に、就くことが出来ています。

 

好きでなったこの仕事ですが、もちろん大変なこと、辛いこと、嫌になること等、いくらでもあります。

そんな時には、あの頃の自分(=くるみ)に問いかけるようにしています。

 

この街の景色は 君の目にどう映るの?

 

あの頃の、長い助走期間があったからこそ今があるし、あの期間がなければ、同じ職業に就いたとしても、全く違ったキャリアライフを送ったことは、間違いありません。

だからこそ、それを忘れないために、常に自分の頭の片隅には、『くるみ』のこの言葉を置きながら、仕事をしています。

 

きっとこれから、大きな壁にぶつかるたびに、足踏みするたびに、桜井さんの言葉が自分を突き動かしていくでしょう。

そんな、私の人生のバイブルが、桜井さんの書く歌詞なのです。

 

es ~Theme of es~ ~不確実な時代の捉えどころのない人間の心を描いた、魂の叫び~ 後編

どうも、口笛少年です。

今回は、『es ~Theme of es~』の歌詞深読みの後編です。

 

前編はこちら。

es ~Theme of es~ ~不確実な時代の捉えどころのない人間の心を描いた、魂の叫び~ 前編 - ミスチル桜井さんが好きすぎて・・・ (hatenablog.com)

 

では今回は2番から。

 

Ah 自分の弱さを まだ認められずに
恋にすがり 傷つけるたび思う
「愛とはつまり幻想なんだよ」と
言い切っちまった方が
ラクになれるかもなんてね

 

「恋にすがり、傷つける」という言葉が出てきます。

このesが収録されたアルバムは、『BOLERO』。

これはコンセプトアルバム『深海』の次に出されたアルバムで、人間のヘビーな部分をリアルに描いた『深海』の流れを受けた、負の感情が前面に出た曲が多いアルバムでもあります。

 

「恋なんて いわばエゴとエゴのシーソーゲーム」と歌い上げた桜井さん。

しかし、「シーソー」のようなぐらついた存在にすがり付くよりは、何かを割り切ってしまった方が、気楽なのかもしれません。

 

またここで見落としがちなのは、ここには「恋」と「愛」という、似て非なる言葉が両方出てきているということです。

 

別の記事でも述べましたが、桜井さんが「愛」を定義した曲は、何曲かあります。

例えば、『名もなき詩』。

 

愛はきっと奪うでも 与えるでもなくて

気が付けばそこにあるもの

 

また『NOT FOUND』では、こんな一文があります。

 

愛という 素敵な嘘で騙してほしい

 

また桜井さんはライブのMCで、「愛とは“想像力”のことなんじゃないかと思いました」と語っています。

共通していることは、愛とは捉えどころのない、不確実なものなのだということです。

甘えや嫉妬やズルさを
抱えながら誰もが生きてる
それでも人が好きだよ
そして あなたを愛してる
 

人は甘くて嫉妬深くてずるい生き物。

だからこそ、不確実なものでしかない「愛する」ということに依存して生きているんですね。

美しくもあり、哀しくもある事実だと思います。

 

Oh なんてヒューマン 裸になってさ
君と向き合ってたい Uh
栄冠も 成功も 地位も 名誉も
たいしてさ 意味ないじゃん

当時の桜井さんは、「栄光」「成功」「地位」「名誉」すべてを手に入れた存在でした。

そんな桜井さんが言う「意味ないじゃん」だからこそ説得力があるし、むしろ桜井さんにしか書けない歌詞であるとも思います。

他の人が書くと、嫉妬とか妬み、負け惜しみにも聞こえかねないですね。

 

身に纏った勲章は、実体のないもの。

どんなに栄光を手に入れても、自分は自分。本質は変わらない。

まさに「es」ですね。

「こんな存在になってしまった自分は、こうあるべきだ」というsuper-ego(超自我)は日に日に重荷になっていく。でも、僕を突き動かす根っこの部分である「es」は、何も変わっちゃいない。

だから、僕が身に纏ったものに目を奪われないで、僕の本質を見て欲しいんだ・・・

激しい曲調とあいまって、桜井さんのそんな悲痛なまでの叫びが伝わってきます。

 

全体的に落ち着いた印象が強いこの曲において、この部分だけが異彩を放っています。それは、ここの歌詞が桜井さんが一番訴えたいメッセージだったからではないでしょうか。

今ここにいる自分を
きっと誰もが信じてたいのさ
過ぎた日々に別れ告げて
君は歩き出す

 

「恋」も「栄冠」も「成功」も「地位」も「名誉」も、どこか実体を感じられないもの。

だからこそ、「今ここにいる自分」だけは、信じていたい。

ここの「君」は、桜井さん自身の、本能的な「es」にも、リスナーにも投影できますね。



何が起きても変じゃない
そんな時代さ覚悟はできてる
よろこびに触れたくて明日へ
僕を走らせてくれ

僕の中にある es

 

不確実な世界、不安定な時代の中、アンバランスな現実のどこに落とし穴が潜んでいるか分かりません。

それでも、それを覚悟した上で、明日に向かっていきたい。

でも、明日に向かって走り出すには、どこか勇気が要ることで、尻込みすることがあるかも知れない。egoやsuper-egoが邪魔をすることもあるでしょう。

そんながんじがらめの自分を、何とか突き動かしてくれないかと、「es」に懇願している、そんな、人間の弱い部分を赤裸々に綴った、躍動感あふれる名文ではないかと思います。