星になれたら~君と僕の物語~ ④
夢見ていた教員生活が始まった。
教師1年目の僕が担任したのは、小学5年生のクラスだった。
5年生の国語の教科書の最初の題材は、「虹」をテーマにした詩だった。
年度初めで、どんな学級にしたいかという話も兼ねて、大好きな言葉を子どもたちに伝えた。
外国の作家さんの言葉だ。
Become a rainbow in someone’s life today.
翻訳すると、「今日の誰かの人生における虹になりなさい。」
皆さんが友達にやっていること、言葉がけや一挙手一投足が、友達の生活を輝かせることも出来るし、暗くすることもできてしまう。
きっと楽しいことばかりではない。
だから、どしゃぶりのような暗い出来事があった時こそ、雨上がりの虹のように晴れやかな存在でいてほしい。
そして、教室にいっぱい虹がかかるようなクラスにしていきたい。
それに、皆さんが今やっている勉強はきっと、将来だれかの心に虹をかける材料になるはずなんだ。
だからこそ、僕はその材料を沢山伝えていきたいし、皆さんはそれを頑張って受け取っていってほしい。
・・・これは、自分に言い聞かせた言葉でもあった。
今日の授業、子どもたちへの関わりが、どんな形でもいい。たった1人でもいいから、その子の人生を輝かせる虹になったらいい。
子どもたちのキラキラした瞳からは、僕の言葉を子どもたちなりに懸命に受け止めてくれているのがよく伝わってきた。
この子たちの輝いている瞳を絶やさないように、1年間教えていかないと。
そう決心した。
ずっとくすぶっていた僕の夢が、ようやく動き出した。
そんな僕の夢が、深い谷越えて、子どもたちを照らす虹になれたらいいな
自分で授業をしながら、僕自身がそう思った。